●何時から今のようなお雛さまになったのかな?
はじめは川に流すと言うことから簡単な紙ひいな、立ち雛の形で始まり、それがだんだんに上等な作りとなってきて、室内に飾るようになると安定の良い今のような座り雛が飾られるようになってきました。いまのように色々な人形を一緒に飾るようになったのは、江戸時代になってからで、世の中が平和になり、豊かになるに連れて一般の人達の間でも雛祭りが盛んになりました。
座り雛では、現存する最も古い寛永年間の作品の「寛永雛」。今のお雛さまの源とされていますが髪の毛は無く、墨で塗ってあります。次に作られたのが享保年間に流行った「享保雛」で高さが60cmもある物まであったとか。ついで「次郎左衛門雛」、丸顔で特徴的なそのお顔は、愛くるしく典雅な気品に満ちていて時代の人達にもてはやされたようです。そして、現代の雛にもっとも近い有職(ゆうそく)雛。その流れをくむ古今雛。少し前の関東風、京風のお雛さまにそのなごりがみられます。このお雛さまから入れ目(ガラス細工や水晶の目)が使われはじめました。
お雛さまは、基本は受け継がれるものの、時代を反映して形を変えながら皆さんの家庭で飾られいきます。そして、日本人として飾る心、送る気持ちが何時までも伝わって行ったらと思います。
(katu)
「流し雛」(鳥取県)
●お雛祭りは何から始まったのかな?
お雛祭りの始まりには、大きく二つのことが関わっています。一つは、厄や災いや汚れを自分の身代わりの「かたしろ」として川に流すことから始まった「流し雛」の行事と、もう一つは、平安の昔からの女の子の雛あそびが何時の時代か混ざりあって、新しい祝いの行事となり雛祭りが始まったようです。そして、それが生まれたばかりの女の子の健やかな成長と愛らしく豊かな子に育って欲しいとの願いから初節句にお雛様を送るようになり、毎年飾ってお祭りをするようになって今に続いているとのことです。
●お雛飾りは楽しくね。
最後にちょっと一言。お雛祭りと言うと3月3日だけの行事だと思っていませんか。そうするとどうしてもお母さんがひとりでお雛さまを飾ることになってしまいがちです。お雛さまは子供と一緒に、できれば家族ぐるみで楽しんで飾ってくださいね。あれやこれやと騒ぎながら過ごす1日。お雛飾りを通してお人形に触れる楽しさと、それとなく身に付く物を大切にする心、やさしい気持ち。家族の意志の疎通の場が生まれるそんな日を毎年持ってはいかがでしょうか。
[有職雛]
「享保雛」
「古今雛」
[立ち雛]
「寛永雛」
[次郎左衛門雛]
参照資料 毎日新聞社 「雛と雛道具」
暮らしの手帳社 「雛と雛の物語り」藤田順子著
(株)美術出版社 「母と子のお雛さまめぐり」藤田順子著
他